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FF14小説『死と幻想録』

「ひどく寂れた映画館だ」


観客は私しか居ないし、カーテンも椅子もぼろぼろ。


放映されているフィルムは途切れ途切れで、音も歪んでぷつぷつと耳障りな音を奏でている。


幕間から‘機械のようなもの’が見える。




映画館とは暗いものだが、ここはより一層暗い映画館だ。


そんな映画館の椅子に私は座っていた。




ふとフィルムの中に、どこの国ともつかない黒い衣装の男が現れ、こう語り出した。


まるで、私に話しかけるように。





「それは、一つの‘別’の話」


「そう、あれは・・・‘すこし明日’の話。」





すぅっと私を闇が包んだ・・・



















ここには何もない・・・ただ黒い無意識の海にいるように、何もない。



私はどこから来たのだろう。


私はどこへ行くのだろう。



緩やかな海流が私を僅かに流しているのがわかる。



いつから私はこうしているのだろう・・・いつ生まれたのだろう。


あまりにも長い時を海中で浮かんでいた自覚はあるにもかかわらず、意識はほんの数刹那のよう。



ただただ私はその「黒い無意識の海」の中でうずくまるように、ぷくぷくと泡を吐きながら目をつぶっていた。




ただただ私は流されていた。生まれてからずぅっと・・・流されていた。










ふと、僅かな振動が私の鼓膜を揺らした。



吐く小さな泡の音に紛れてしまう様な、小さな小さな海の振動。





「感じなさい・・・心を器の容にして」



何…?声・・・?



「感じなさい・・・心の器に流れる海の胎動を」




・・・!!


一刹那の内に流れが変わった。


黒い意識の海流に翻弄され、抗いつつも意識が朦朧とする中、一筋の眩い光が網膜に痛覚を与える。



長い長い…光に対する欲望が、渇きが眩しさを忘れさせ、双眸をかっと見開かせた。



その瞬間、黒い無意識の海は引き、あたりに緑の植物と、青い空と「本当の海」が広がる世界に変わった。僅か遠くの海の上に巨大な白い建築物が見える。







瞬時に悟った。




そうだ・・・私は確かに「ここ」に転生したのだ、と。



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序話「幻想のはじまり」完   次回 第一話「リムサ・ロミンサ」

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